先日、文科省が小中学校へのスマホの持ち込み禁止を見直す方針であることを明らかにしました。
このことを受けて、世間では大きな議論が巻き起こっています。

文科省は2009年、「携帯電話は、学校における教育活動に直接必要のない物」などの理由から、小中学校では生徒の持ち込みを「原則禁止にすべきである」と通知しました。
しかし、それから10年経ち、この度、解禁の方向となったわけです。

解禁へのきっかけは、大阪府が府の新ガイドライン案で校内への持ち込みを認めたことです。
もともと大阪府も原則禁止にしていたのですが、先の大阪北部地震で保護者から「子供との連絡が取れずに困った。」という声があり、持ち込みを認めたのでした。
１０年前は携帯電話自体持っている生徒は少なく、また、当時は「学校裏サイト」などが話題となり、いじめを助長すると問題視されていました。
しかし、小中学生の携帯電話の保有率も上がり、災害時の緊急連絡手段として便利ということから、文科省も禁止が時代に合わなくなっているから解禁するという方針になったようです。



今回の解禁に関して賛否両論となっています。
小中高どの生徒も携帯電話の利便性については感じているようです。
特に「災害時に緊急連絡手段」として便利と考えられ、同様の理由で子供に持たせている保護者もたくさんいます。
ただ同時にいじめの加害者、被害者になる可能性やゲームやSNSへの依存性、学力低下の懸念もあり、さらに大人が
状況を把握しづらい点から、まだ分別が十分にできず、自制も難しい子供に持たせることへの心配もあります。
道具なのだから使う本人次第、小さい時から使い方を身に付けるべきなので、生徒に持たせてもよいと考える人もいます。
負の側面もあるので、大阪府も文科省も「合わせて『家庭内でのルール作り』『有害情報に関する啓発活動』などが必要」とし、無制限の使用許可というわけではないようです。
文科省は大阪での実践に注視しながら、今後の解禁について検討するようです。

大阪府のガイドライン素案は次に内容が含まれており、「持ってきても、緊急時以外は使わせない」方針であることが分かります。
・登下校の所持の目的は防災・防犯のため
・校内では使わない
・登下校時も緊急時以外使わない
・保護者も災害などの緊急時以外は連絡しない
さらに家での使用時間、SNSの利用方法などのルールがあり、基本的に従来の方針と変わらなくなっています。



世間の反応を調べてみると、やはり携帯電話の持ち込みに反対の方が多数派になっています。
いじめや無許可に個人情報の拡散、盗撮や様々な犯罪に巻き込まれる可能性が指摘されています。
学校では必要ない、勉強の妨げになるという従来からの意見も根強くあります。
と同時に、様々な可能性が広がる、調べものに便利で勉強にも役立つと正反対の声も上がっており、携帯電話の持つ二面性がうかがえます。
災害時の緊急連絡手段が今回の解禁の理由でしたが、実際の災害時では回線がパンクし使い物にならないと、今回の根幹に疑問を持つ人もいます。



どのような道具でも使い方次第で益にも害にもなります。
しかし、スマホのような効果の大きいものには特に使い方に注意が必要です。
例えルールを作っても子供たちがきちんと理解し厳格に守るとは限りません。
大人がずっと使用状況を把握できるわけでない（特にSNSなどは、その実情をつかむのが難しくなっています）のであれば、慎重に対応するのがいいと思います。

携帯電話を持たせる理由が「子供の安全」「緊急連絡手段」というのであれば、それに特化したものを作って持たせる方がいいと思います。
調べものに使うのであれば、必要ないサイトなどにつながらないようにしたり、調べもの専用のサイトを作り、そこで生徒の学習支援ができるようにすればいい。
そのインフラ作りなら、予算も十分に認められるべきです。
子供たちを危険から守り、学習の役に立つのだから、その価値はあります。

その影響力の大きさを考えるなら慎重な対応が大切で、はやりや聞こえの良さに飛びついて安易な判断はしないでほしいと思います。
子供の成長と将来に関わるのだから、責任ある対応を望みます。