下町酒場はしご酒~江戸川のディープな居酒屋巡り
飲兵衛のるつぼと化す平井駅の人気店
総武線沿線の平井駅は、まだ少し、戦後の下町文化が残る。
そんな平井駅から歩いて数分、花街の面影を残す料亭の向かいに、連日多くの客で賑わいを見せる(松ちゃん)がある。
創業は1989年。
カウンターはひとりの常連客がほとんど。
座敷にはグループで訪れる仕事帰りの客が多く、その賑わいに圧倒される。
プリプリとした食感が鮮度を物語る豚の「白レバ刺し」680円は人気メニュー。
ごま油につけるとほのかな甘さがより際立つ。
薬念醤(ヤンニンジャン)の自家製ダレで味付けした「ホルモン鉄板焼き」500円や、ロースの生肉を使用した「生馬刺し」750円など、名物料理が辛口の酒へとよく合う。
まるで自分の故郷に戻ってきたような、そんな気持ちになる酒場だ。
安くてうまい大衆酒場の原点に今宵も飲兵衛の歓声が飛びかう。
驚くほどの価格を実現できるのは経営努力の賜。
食材は大型の契約による市場からの独自ルートで仕入れ、原価を可能な限り抑える。
盛りつけも「大衆酒場」ゆえの最低限に留め、スタッフ同士の連携で料理を待たせることなく素早く出す。
とにかく回転率が店の生命線なのだ。
「安くてボリュームがあってうまい。それが昔からのうちに対するお客さんのイメージ。裏切るわけにはいかない」と主人は話す。
安かろう悪かろうでは、客がついてこないのは十分承知なのだろう。
そんな人気店も現在は墨田区に(松ちゃん東あずま店)、新宿区に(神楽坂ソシアルクラブ)をオープン。
そちらも訪ねてみたい。
↑店の名物「ぶり刺し」は250円の超お徳用。これは絶対
↑常連客の人気の揚げ物は安くてボリューム満点
↑家庭的なポテトサラダは大衆酒場の定番
↑平井でこの店を知らぬ飲兵衛は、もぐりとも言われる人気店
◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規7000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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