下町酒場はしご酒~江戸川のディープな居酒屋巡り
知る人ぞ知る新小岩の昭和酒場
JR総武線新小岩駅南口から歩くこと約8分、夜になれば人通りもまばらになる商店街の外れの住宅街に(おばこ)がある。
目印は、朦々と立ちこめるもつ焼きの油煙だ。
店は時計の針を止めてしまったかのような風情。
聞けば、昭和33年創業。
建物も昭和の雰囲気に満ちている。
メニューは秘伝のタレで焼くもつ焼きを中心に、「トマト」「湯どうふ」といった素朴な料理が並ぶ。
カウンターにはお馴染みの常連客が肩を並べる。
ほぼ毎日足を運ぶ客もいるという。
毎日行っても品書きが変わるわけでなし、酒が変わるわけでなし、たまに季節の品があるくらいで大筋はいつもと同じだ。
しかし、若いうちは変化を楽しむが、歳が上がると変化しないことを楽しむ。
毎日行って、毎度同じことをするのは風呂と同じだ。
風呂も酒も毎日の生活の一部だからだ。
私はそういう店と客を多く知っているが、彼らはいつも同じ時間に来て同じものを注文する。
飽きないからでもあるが、食の幅を拡げる探求心は失ったかのようだ。
ではその行為は何なのか。
私は大上段に「自分を確認する日々の営為」と言いたい。
料理は大衆居酒屋の模範となるようなものばかりが並び、常連客がいつもと同じ酒と肴を楽しんでいる。
飲兵衛は近所に「自分の居場所」たる「行きつけの一軒」をもちたくなる。
ここ(おばこ)は地元客のための居酒屋だ。
あなたは居酒屋が好きですか。
嫌いじゃないけど、酔っぱらいや、じろじろ見る客のいる所はいや。
トイレがきれいじゃないと絶対ダメ。
よくわかる。
近頃の日本酒はとてもおいしく、ヘルシーな和食も大好き。
ワインもいいけど日本酒も好き。
そういう女性は多い。
男って仕事のあと、ひとりで飲みに行くでしょう。
ぼおっとひとりで飲んでいるのは絵になるし、女だってそういう時間をもってみたい。
わかるわかる。
でも居酒屋やバーは女ひとりじゃ行けない。
そうでもないですよ。
↑ここの主役はもちろんもつ焼き、カットも大きい
↑豚のタン刺しがあれば迷わず注文
↑お新香は味わい深くうるわしい
↑ここ数年、風情のある建物で営業していた江戸川区の大衆酒場の多くが建て直しされたがここは当時のまま、貴重な一軒だ
店名 | やきとり おばこ |
住所 | 東京都江戸川区松島4-33-6 |
営業時間 | 17:00~22:00 |
定休日 | 木曜・第3水曜 |
連絡先 | 03-3653-0852 |
関連サイト | なし |
取材日 | 2021年 |
◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規7000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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