下町酒場はしご酒~江戸川のディープな居酒屋巡り
香ばしい匂いに誘われる小岩の名物酒場のひとつ
JR総武線小岩駅から歩くこと約3分。
南口からまっすぐ伸びる昭和通り商店街のはずれ、中央通り商店街との交差点に立つ(一力)は、まず、その絶好の立地条件をうまく利用して、軒先からモツ肉の脂が炭火で焦げる香ばしい匂いを拡散させ、信号待ちで立ち止まった仕事帰りのサラリーマンを誘惑する。
そんな、行き交う人々の壁となって立ちはだかるこの店は、小岩では数少なくなった下町風情が香る大衆酒場のひとつで、昭和31年の創業から受け継がれる暖簾を守る老舗だ。
(一力)は、まず店先の裸電球で客を誘う。
お燗を頼めば、客の手渡しで頼んだ人の手元まで。
なかなか人使い、いやいや客使いの荒い店である。
ブタのイラストも可愛いらしい、地元に根付いた酒場だ。
自慢のもつ焼きを味わうなら、一度試したいのがニンニク醤油だ。
通常はガツ刺しやレバ刺しなどのタレとして使うためメニューにはないが、「素焼きのシロをニンニク醤油でお願い!」などと常連客の間ではお馴染みの食べ方。
キリッとした辛みとニンニクの風味が酒の肴にはぴったりだ。
もつ焼きは持ち帰りもできる。
(一力)は、高い店に飽きた人が来るところ。
食べて、飲んで、馬鹿言って、笑いあい。
そんな人が集まってくる場所だ。
家庭料理ばかりで気取ったものはひとつもない。
だが、ここ(一力)では、大衆酒場の原点でもある“笑顔”が絶えることはない。
ちなみに、この店は2階も存在する。
といっても、雰囲気がまったく異なる店なのだが、実はご主人の兄が居酒屋を営んでいるのだ。
そのため、2階の居酒屋メニューを1階で注文することも可能で、自家製塩辛やカレーといった2階の人気メニューを1階で味わえるというから1軒で2度おいしい。
↑当店名物のもつ焼は塩・タレ・ニンニク醤油から選べる
↑醤油を使わず、白味噌で約6時間火を入れた煮込みは必食
↑名物の豚の部位のイラスト。こういうのが酒場の魅力のひとつである
↑兄弟で営むもつ焼きの老舗
店名 | 一力 |
住所 | 東京都江戸川区南小岩8-8-6 |
営業時間 | 16:00~23:00 |
定休日 | 火曜 |
連絡先 | 03-3672-4129 |
関連サイト | なし |
取材日 | 2022年 |
◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規7000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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