子供たちを見て気になることがあります。
それは子供たちが間違いを恐れることです。
分かる問題はやるのですが、分からない問題だと手を付けようともしない。
質問しても答えない。
「分かりません。」ではなく「答えたくありません。」と言う。
これはどういうことでしょうか。



勉強は分かることだけをやるものではありません。
分からない、できないことを知り、それを克服しようと試行錯誤して答えを見つける。
その過程に発見があり、思考が深まる。
それが勉強の面白さであり、学ぶ喜びです。

与えられて、それを忠実に複製するだけなら、学びの意味は半減するでしょう。
特に技術が進歩した現代においては、これは人間でなく機械で代替可能です。
こんな勉強では人間の価値を高めることはできません。



なぜ子供たちは間違いを恐れるのでしょうか。
それは彼らが置かれている教育環境に一因があると思います。
点数による相対評価で、テストや問題で正解のみを要求される。
一生懸命努力しても過程は軽視され、結果のみ注目される。
場合によっては、間違えで生徒の人格そのものを否定され得る。

こんな状況では、間違えることは罪悪と感じるのも無理はない。
間違えることで人としての劣等の烙印を押されるなら、答えない方がいい。
答えないことで、少なくとも「分かっていない」と断定されることは避けられる。
分からないことで周りから馬鹿にされるなら、それを隠そうとするのも理解できる。
自分の尊厳を守るため。
ナイーブな子供の心は傷つくことを恐れるのです。
つまり、保身のための当然の反応です。
（子供たちをこのような心理状態のするのは構造的制度的な問題なので、解決には社会で取り組まないといけないでしょう。）



勉強ができる子なら問題ないのですが、できない子供にはこれは大きな足かせになります。
本来間違えることは罪ではなく、それを正せばいいことで、自分を成長させるチャンスです。
しかし、子供たちの経験則がこのチャンスを手放させるのです。
私の塾の生徒たちも、最初こんな感じの子が多かったです。
だから、私も口を酸っぱくして次の様に言いました。

間違えるのは悪いことではない、どんどん間違えてください。
ここでは間違えて馬鹿にしたり悪口を言う人間は一人もいないから、安心して間違えてください。
間違いから学べばいいだけです。
最初からできるのであれば、ここに来る必要はないありません。
こちらは完璧を求めていません。
これから完璧に近づけるようにサポートをします。
不完全でも、常に自分を向上させようと努力できるのが人間です。
間違えを恐れて、自分を高めることを放棄する方が問題です。

葛西TKKアカデミーは、生徒が何でも心を許して話せる環境を作ることに努めています。
それは、以上の理由もあるからです。