お金とくらしのアドバイザー 永易佑隆
お金とくらしのアドバイザー 永易佑隆(ながやす ゆたか)です。
2026年8月から、「高額療養費制度」という医療費の自己負担をおさえる仕組みが少し変わりました。あまり大きくニュースにはなっていませんが、入院や手術で医療費が高くなったときの「1カ月あたりの自己負担の上限額」が、これまでより高くなるご家庭も出てきます。
どんな世帯で負担が増えやすい?
今回の見直しで、とくに気をつけたいのが30〜40代の共働き世帯です。夫婦2人の収入を合わせるとそこそこ年収があるように見える一方で、住宅ローンや子どもの教育費など、毎月の固定費も大きくなりやすい世代でもあります。
表面上の年収が上がるほど、高額療養費の区分も「負担が重いグループ」にシフトしていきます。その結果、同じような医療費でも、これまでより自己負担の上限が高くなるケースが出てくるのです。「高額療養費があるから、いざというときも安心」と思っていたのに、「想像していたより支払いが多かった…」ということも起こりえます。
一方で、長く治療が続く方に向けては、年間での自己負担に上限を設ける仕組みが新設されるなど、負担を抑える工夫も入っています。ただ、全体としては、公的医療保険がカバーしてくれる範囲が、少しずつ“自己負担寄り”に傾きつつあると受け止めておくことが大切だと感じています。
家計への影響と、自助努力の必要性
医療費負担の増加は、高齢者だけでなく、働き盛り世代の家計にも影響します。とくに、変動金利で住宅ローンを組んでいるご家庭では、金利上昇にともなう返済額アップと、子どもの進学にともなう教育費のピークが重なり、「思ったほど家計に余裕がない」という声もよく聞かれます。
そんな中で病気やケガが重なり、医療費の自己負担が増えたり、仕事を休むことで収入が減ったりすると、家計へのインパクトは小さくありません。高額療養費制度でカバーされる医療費以外にも、通院交通費や入院時の雑費、ベビーシッター代・外食や宅配の増加、家事代行費用など、公的な仕組みではカバーしきれない支出も発生しがちです。
物価高の影響もあり、差額ベッド代や入院時の食事代の自己負担は増加傾向にあります。場合によっては、これら「医療費以外の費用」が、高額療養費の対象となる医療費そのものより大きくなることもありえます。こうした背景から、民間の医療保険や貯蓄などの自助努力は、以前にも増して重要になっていくと考えています。
まずは「わが家の年収ゾーン」をざっくり把握してみましょう
高額療養費制度の区分は、年齢や所得水準によって細かく分かれており、すべてを暗記する必要はありません。大切なのは、「自分の世帯がおおよそどの年収ゾーンにいるのか」を知っておくことです。
最初の一歩としておすすめなのは、難しい計算や書類探しではなく、「うちは夫婦で、だいたい年収○○万円くらいかな」とざっくり把握してみることです。会社員の方であれば、源泉徴収票を2人分ざっと見て、「だいたいこのくらい」と合計してみるだけでも、イメージがかなり変わります。
そのうえで、「この年収帯だと、医療費の自己負担の上限はどのくらいになりそうか」「今後、負担が増える方向なのか」を、ニュースや自治体のお知らせなどで確認してみてください。“なんとなく安心”から、“自分の世帯の数字を知ったうえで安心する”へ、一歩進めておくことが、これからの医療費負担の変化に備えるうえでとても大切だと感じています。
医療保険の見直しや、貯蓄・投資とのバランスの取り方については、また別のニュースでお伝えしていきます。まずは今回の改正をきっかけに、「わが家の年収ゾーン」と将来の医療費負担について、一度立ち止まって考えてみていただければうれしいです。
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| 名称 | お金とくらしのアドバイザー 永易佑隆 |
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