下町酒場はしご酒~江戸川のディープな居酒屋巡り
都内を代表する古典酒場のひとつ
とりとめなく住宅街の広がる京成小岩。
住宅街をしばらく歩いた先、人通りもあまりない、決して居酒屋なんぞあっちゃいけないような場所に(銚子屋)がある。
地元で60年続くこの店では、銚子ならではという肴の数々に驚かされる。
(銚子屋)というこの店の名前は、女将の出身地が千葉県銚子であることに由来している。
煮込みや〆サバなど、いわゆる大衆酒場お馴染みの顔触れとなる料理のなかにも、銚子の海藻やさんまの花漬、銚子のめざしといった、銚子から届けられる郷土の味覚が並んでいるのもそのためである。
ここ(銚子屋)は、温かな老夫婦のもてなしに心癒される呑兵衛の故郷だ。
江戸川区小岩は奥が深い。
駅から離れた住宅街に忽然と現れたる(銚子屋)は、暗闇に異様な雰囲気を漂わせている。
カラオケなどがなかった時代に活躍したハチトラや昭和のポスターなどがいまだに残る店内は、いかにも飲兵衛が好みそうなノスタルジックな空間。
住宅地の一角という隠れ家的ロケーションや昭和テイストが酒飲みの冒険心をくすぐってやまないのか、この酒場には遠方から訪れる酒場マニアもいる。
これだけでも、この酒場が他の居酒屋と一線を画すことはよくわかるが、さらに驚かされるのは午前11時半開始という営業時間だ。
そんな早い時間に客が訪れずのかと心配になるが、意外や意外、昼飯に一杯飲む客も多い。
「顔見知りになると営業前に来て開けろいうお客さんもいるからね」と苦笑いする主人。
それでも客はかわいい子供のような存在なのだろう。
長年の経験から開店前に常連客が来そうな日は店のカギをを開けておくという。
親心とも言うべき気遣いで迎え入れるのだ。
町の喧騒とはかけ離れた閑静な酒場で、店主の温かい人情に触れる。
常連客がわざわざ足を伸ばして来る理由はそこにあるのだろう。
池波和彦のまいぷれ江戸川区・魅惑の下町酒場の読者の皆さん。
江戸川区には渋い酒場があるでしょう。
男がひとりで、男が友と。
女がひとりで、女同士で。
彼女を連れて、カミさんと一緒に。
まあ、今宵も下町江戸川に漂う酒場で、ほろ酔うてみるか……。
↑甘めな味付けの濃厚なタレで煮た「赤魚煮付け」はこの店の名物
↑イワシのフライは下町大衆酒場の人気メニュー
↑大衆酒場の定番「煮込み」はこのボリューム
↑この外観を見よ。創業当時のままで営業する酒場は酒場遺産!
店名 | 銚子屋 |
住所 | 東京都江戸川区北小岩2-19-6 |
営業時間 | 11:30~19:30 |
定休日 | 不定休 |
連絡先 | 03-3658-9381 |
関連サイト | なし |
取材日 | 2019年 |
◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規7000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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